意志力を節約する生活設計

活動をするにあたってアクションを起こすために必要な精神的体力のようなものがある。この体力がないと質の高い活動や継続的なアクションができない。以下これを意志力と呼ぶ。

意志力とは

意志力とは根性や精神力ではなく、前頭前皮質が担う認知リソースのことである。判断、抑制、集中といった行為は全て同じリソースを消費する。そして使えば使うほど同じ日のうちに枯渇していく。これを決断疲労と呼ぶ。

重要なのは消費されるのが実行だけでなく抑制も同じコストという点。やることを決める判断もやらないことを我慢する抑制も、同じ貯金から引き出される。選択肢が多いほど消費も早くなる。内容より回数と選択肢の数が効く。

また意志力は有限だと信じている人ほど早く枯渇するという研究もある。純粋な生理現象だけでなく、信念が消耗速度に影響している。ただしエゴ・デプレーション(意志力の消耗)自体は心理学の再現性問題で再現失敗が報告されており、「使えば減る」モデルの妥当性には議論がある。

節約

意志力の消費を構造的に減らすアプローチ。現状では3つ考えている。

習慣化・ルーティン化

判断コストの消費をほぼゼロにする。同じ内容を繰り返すことによって基底核が自動実行するようになる。判断自体が発生しないため意志力を消費しない。

環境設計

抑制コストをゼロにする。スマホを別室に置けば見ることを我慢する必要がなくなる。選択肢から物理的に消してしまえば抑制という高コストな処理が不要になる。

ワークフロー化・PKM

作業・知識についてをメモし、定型に落とすことで判断と知識の外部化を行う。判断ロジックをシステムに書き出しておいて、必要なときに参照する。また書く行為によって理解の深化と記憶の定着を促し、蓄積された知識は検索・参照・再利用できる外部記憶になる。これらをAIに食わせることによって判断の自動化が期待できる。

増強

意志力の上限自体を引き上げる手段。

  • 睡眠 — 前頭前皮質のグルコースを回復させる最も効果の大きい手段
  • 運動 — BDNFを介して前頭前皮質の容量自体を長期的に上げる可能性がある
  • ストレス管理 — 慢性ストレスはコルチゾールを出し続けて前頭前皮質を萎縮させるので、上限を守る防衛線となる